病気やけがの治療のため国内では毎日約3,000人に輸血が必要です。しかし、年々献血者の数は減少傾向にあり、将来的には大幅に血液が不足するおそれがあります。そこで日本の献血の現状について紹介します。
献血者の推移
厚生労働省の報告をみると平成6年の献血者は661万人であったものが平成23年には525万人となり、約20年間の間に136万人減少していることがわかります。近い将来、85万人分の延べ献血者数が不足すると言われており、献血者の減少は深刻な問題となっています。
年代別にみると20代、30代の若い世代の献血者の減少が著しくこの10年間で約3割落ち込んでいます。少子化の影響だけでなく献血への意識の薄れから若者の献血離れがその理由として考えられます。
なぜ将来的に血液が不足するのか
輸血は交通事故などの大けがの際に活用されるイメージがあります。しかし、実際にはけがで輸血が必要となる割合はわずか3パーセントで輸血のほとんどはガンをはじめとする病気治療のために使用されています。輸血を受ける人の80%が50代以上であり、超高齢化社会が進行すればますます血液が不足することが考えられます。人生100年と言われる時代は言い換えれば血液不足の時代ともいえるでしょう。
血液は長期保存できない
病気やけがの治療には健康な人の血液を輸血する必要があります。どんなに医療が進歩しても人工的に血液を作り出すことはできません。血液は血液製剤に加工されて治療に使用されますが生きた細胞からつくられるため長期保存ができません。
全血製剤や赤血球製剤の有効期間は21日間、血管損傷時に止血を目的として使用される血小板製剤に至ってはわずか4日間しかありません。したがって、一時的に量をストックしても意味がなく継続的な献血が必要となるのです。
献血は誰でもできる?
16~69歳までの健康な人で基準を満たしていれば誰でも輸血が可能であるとともに、献血による健康への影響もほとんどありません。献血には全血献血のほか、血漿や血小板だけを献血する成分輸血の2種類あります。血漿成分輸血以外は1回の献血上限が400mlとなっているため健康に影響を及ぼすことなく気軽に輸血していただけます。
まとめ
日本国内の献血者数は減少の一途をたどっており、このままでは将来的に大幅に血液が不足することになります。血液は人工的に作ることができないだけでなく長期保存もできません。健康に自信がある方はぜひ献血にご協力ください。